v1.40 新機能:従来の6通貨ペア×30分足に加えて、その他の通貨ペア・時間足でも統計マッチングによる未来予測を表示できるようになりました(Rank A矢印シグナルの発報と検証済み成績は、従来どおり6通貨×M30が対象です)。
エントリーした瞬間に、逆行する
こんな経験、ありませんか?
環境認識をして、根拠を揃えて、エントリーする。その瞬間から逆行が始まる。耐えきれず損切りした途端、想定していた方向に伸びていく。
「見えてたのに」とつぶやく。私も何度もつぶやきました。でも実際は見えていません。誰にも見えていない。エントリーの根拠にしたインジケーターもラインも、すべて過去を加工したものだからです。チャートの右側を描くツールは、原理的に存在しません。
抜け道がひとつだけあります。
いまの形とよく似た過去は、その後どう動いたか。それを毎回、大量に集計すること。
未来予知ではありません。過去のカンニングです。だから外れるときは外れます。ただし集計である以上、どのくらい偏るのかを検証で確かめられます。未来予報は、その集計をMT5のチャート上で自動的に回し続けるインジケーターです。
この商品には検証があります。実際のブローカーが配信したデータで、6通貨合算・累積+12,677pips。
ただ、私はこの数字ひとつでは納得ができませんでした。ひとつの検証で出た好成績を、自分がまだ信じきれなかったからです。そこで二度目の検証を組みました。今度はわざと不利な条件で。TP/SLの評価を外し、期間を8年に広げ、独立したデータで採点し直す。エッジ(優位性)が幻なら消えるように設計した反証テストです。
エッジは消えませんでした。2,263回の試行で、PF1.097。地味な数字です。それでも逃げ場を塞いだ上で残りました。
企業のデータ分析を10年、自分の資金でのFXを15年。なぜ2回も検証したのか、順番にお話しします。
第1章 やっているのは予知ではなく、集計です
未来予報が答えているのは、この問いです。
いま目の前にあるこの30本と「よく似た形」は、過去15,000本の中に何回あったか。その直後の10本はどう動いたか。
構造は保険会社の統計やカジノのオッズ計算と同じです。1回ずつはどう転ぶか分からない。しかし似た状況を大量に集めると、そこに偏りが観測されることがあります。
未来予報は直近30本のチャート形状を最大15,000本の過去履歴と照合し、類似パターンの直後10本(M30で5時間分)を集計します。偏りが十分に強いと判定されたものだけをRank Aとして表示します。
過去のカンニングペーパーを毎回めくって見せる。やっているのはそれだけです。だから検証できます。逆に「未来が分かる」と言い出す商品からは、静かに離れてください。未来は誰にも分かりません。未来予報が提供するのは予知ではなく、検証済みの集計です。
第2章 先に「しないこと」を全部書きます
数字をお見せする前に、まずは誤解のないよう商品の前提をお伝えしておきます。購入後に「思っていたものと違った」と感じてほしくないからです。
未来予報がすること
- 6通貨ペア(EURUSD / GBPUSD / USDJPY / EURJPY / GBPJPY / AUDJPY)の30分足で、過去チャート形状の統計マッチングに基づく方向シグナルを表示します
- シグナルには信頼度ランク(A/B/C)が付きます。検証しているのは、発報されたRank Aです
- 予測対象は発報から10本先、つまり5時間先です
未来予報がしないこと
- 自動売買はしません。EAではありません。
- TP/SLの決済管理をしません。エントリー、ポジション管理はご自身の裁量となります。
- 「必ず勝てる」ものではありません。検証①で6通貨合算+12,677pips、条件を厳しくした検証②の総合値でPF1.097・勝率52.23%。どちらも「薄いプラスの期待値」を示す数字です
- 全通貨・全年で一律に効くわけではありません。強い通貨と弱い通貨、強い年と弱い年がはっきり存在します。第8章で、負けたセルも含めてそのまま見ていただきます
v1.40で動作範囲が広がりました。
- 従来(〜v1.3x):6通貨ペア×30分足のみで動作
- v1.40:それ以外の通貨ペア・時間足でも、統計マッチングによる未来予測の表示が可能
ゴールドでも、5分足でも、4時間足でも、「過去の似た形はこの後どう動いたか」を重ねて表示できます。使い方の自由度は大きく上がりました。
線引きも書いておきます。Rank Aの矢印シグナルとアラートが発報されるのは、従来どおり6通貨ペア×M30だけです。開示している検証数値も、すべて6通貨×M30のRank Aのものです。拡張した通貨ペア・時間足の成績は検証していませんし、保証もしません。
拡張部分は検証済みのシグナルではなく、環境認識を補助する統計的な参考表示として使ってください。検証した範囲と、していない範囲。この線引きは製品側にも実装してあり、対象外のチャートではパネルに「ランク/矢印/アラートは6通貨×M30のみ対応」と表示されます。誤認したまま使えない設計です。
文章より、動く画面を見る方が早いと思います。未来ローソク足・ファンチャート・Rank表示の実際の動きです。
Rank A表示とファンチャートの帯、その後の実際の値動き。※過去チャート上の表示例であり、将来の成果を示すものではありません
第3章 中身は「説明できる統計」だけで組んでいます
商品名に「統計AI」と付けていますが、未来予報はディープラーニング型ではありません。現在のチャートと似た過去を探し、その後の値動きを集計する統計ベースの仕組みです。予測の根拠を追いやすく、同じ条件で検証できることを重視して、この方式を採用しています。また、ロジックは統計学の教科書に載っている道具だけで組まれていますので、その設計の骨格をお見せします。
① 形状の照合は、正規化とピアソン相関で行う
直近30本の値動きを、平均と標準偏差で正規化(zスコア化)します。その上で、同じく正規化された過去の形状と相関係数で照合します。価格の水準やスケールに左右されず「形そのもの」の類似度を測るための、統計学では標準的な手続きです。
② 似た形を「似た文脈」で絞り込む
形が似ていても、文脈が違えば参考になりません。候補は時間帯の近さ(市場セッションの性格を揃える)と、ボラティリティ水準の整合(ATRベース)でフィルターされます。東京時間の静かな30本と、NY時間の荒れた30本を同一視しないということです。
③ 予測は1本の当てものではなく、k近傍法によるアンサンブル
絞り込んだ候補から類似度上位30件を採用し、それぞれの「その後10本」をボラティリティ調整して現在に射影します。30通りの未来の中央値がメイン予測線です。同時に25〜75%の範囲を50%帯、10〜90%を80%線として描画します。未来を点ではなく分布として見せる、ということです。予測のばらつきが大きい局面では帯が広がり、それ自体が情報になります。
④ ランク判定は、方向の一致度とばらつきの合成
30通りの予測がどれだけ同じ方向を向いているか。そのばらつきがどれだけ小さいか。形状一致度がどれだけ高いか。これらを合成した信頼度スコアが通貨ごとの閾値を超え、さらに長期トレンドとの整合(200EMAフィルター)と最低期待値の条件を満たしたときだけ、Rank Aが点灯します。v1.40では、同一局面での重複発報を抑えるクールダウンも実装しました。似た地合いが続くと連続で鳴るという、従来の課題への対処です。
通貨別の閾値の具体値、信頼度スコアの合成式、フィルターの許容パラメータは非公開です。模倣対策であると同時に、ここが約8年分の検証で調整された、未来予報の中核だからです。
手法として目新しいものは何もありません。それがこの商品の設計思想です。奇抜な理論は検証できませんが、正規化・相関・k近傍法・分位点なら誰でも原理を確かめられます。検証可能なものだけで組む。だから検証結果を正面から出せます。
第4章 検証①:実ブローカー配信データで累積+12,677pips
未来予報の土台になっている検証から書きます。
- データ:MT5経由で実際のブローカーが配信したOHLC足(2022〜2026年)
- 方式:通貨ペア×年ごとに、TP/SLの組み合わせ(5×5グリッド)を走査して成績を評価
- 結果:6通貨合算で累積+12,677pips(10本後終値ベース・スプレッド未考慮)
実際に配信された値を使い、TP/SLの決済まで含めて評価した、実運用に近い検証です。今回あらためて再現監査を行い、検証可能なヒートマップ25セル中23セルが、保存されていた元データからの再計算と一致することを確認しました(残りは保存データの一部欠落により再現対象外・世代差)。当時の数字は、当時のデータとコードから正しく出力されたものです。
検証①(実ブローカー配信データ・TP/SLグリッド方式):6通貨合算+12,677pips
ここで止めてもよかったんです。検証済みの商品として、そのまま売り続けられる状態でした。
ただ、データ分析を10年やっていると抜けない癖があります。ひとつのデータ源とひとつの評価方式で出た数字を、自分は本当に信じきれるのか、という疑いです。
ブローカー配信データには「実際に流れた値」という強みがある一方、1社由来という点で独立性に限界があります。TP/SLグリッド方式は実運用に近い一方、候補の中から良い組み合わせを選んで評価する構造上、数字が楽観側に寄りやすい性質を持ちます。
商品として販売する以上、もう一段固い土台がほしい。そこで二度目の検証を設計しました。
第5章 検証②:エッジが幻なら消えるように組む
二度目は、独立した海外ヒストリカルデータを主軸に据えたクロスチェックです。設計方針は「一度目のエッジが幻なら、消えるように条件を組む」。変えたのは3点です。
厳格化① TP/SLの評価を排除した
一度目にあった「TP/SL候補から成績を評価する」という選択の余地を消し、発報から10本後の終値ただ一点で機械的に採点する方式に統一しました。逃げ場のない一発勝負の指標です。数字は当然、地味になります。それでいい。選択の余地がない数字こそ、事前に信じられる数字だからです。
厳格化② クールダウンを適用した
近接して連続するシグナルを重複カウントしないよう、発報後5本の抑制をかけました。母数を水増ししない方向の変更です。
厳格化③ 検証期間を2019年まで遡って拡張した
一度目の2022年より前、コロナショックを含む2019年4月からの約7年強・6通貨をすべてプールしました。
方式もデータ源も期間も異なるため、一度目と二度目の数字は直接比較できません。TP/SLグリッドの評価値と、10本後終値のプールPFは、指標の定義が別物です。独立した2つの角度から同じロジックを検証した、というのが正確な説明になります。
第6章 検証②の結果:不利な条件でも、優位性は残った
確定した数字をそのまま置きます。
検証条件:M30・Rank A発報シグナル・10本後(5時間後)の終値ベース方向リターン。TP/SLなし。クールダウン5本適用。6通貨をプールした総合PF(総プラスpips ÷ 総マイナスpips)。
| 集計期間 | シグナル数 | pooled PF | 累積pips | 勝率 |
|---|---|---|---|---|
| 2019-04〜2026-06(フル) | 2,263 | 1.097 | +2,616.95 | 52.23% |
| 2022-01〜2026-06(直近約4年半) | 1,502 | 1.069 | +1,432.25 | 53.06% |
この数字を見て「地味だ」と感じた方。感覚が正常です。ネットにはPF 3.0や勝率80%の商品がいくらでもあります。
ただ、どういう条件の下で残った数字なのかは思い出してください。TP/SLの評価を排し、重複を削り、期間を8年に広げ、独立データで採点し直した後の数字です。逃げ場を塞いだ上で、それでもプラス側に残りました。
方式もデータ源も期間も違う2つの検証が、どちらも6通貨合算でプラス側を指しました。検証①は実ブローカー配信データとTP/SL評価で+12,677pips。検証②は独立データ、TP/SL評価なし、8年間でPF1.097。指標の定義が違うので優劣は比較できませんが、方向は一致しています。
単一の検証がたまたまプラスに出ることはあります。設計思想の異なる2つの検証が同じ側を指すのは、偶然としては一段起きにくい。検証①が主役で、検証②はその第二の証人です。この2つの検証結果が揃い、販売を続ける根拠がより明確になりました。
PFの値そのものより、何回の試行で出たPFか。データ分析の仕事で骨身に染みたのは、こちらです。
シグナル30回でPF2.5が出るのは、偶然でも起きます。コインを30回投げて表が19回出る程度の話です。一方、2,263回の試行を経てなおプラス側に留まり続ける偏りは、偶然で説明することが難しくなっていきます。
カジノのハウスエッジは数%しかありません。1回ずつの勝負では、カジノは平気で客に負けます。それでも事業として成立するのは、薄い優位性に膨大な試行回数が掛かると、長期では安定した期待値に収束するからです。未来予報が提示しているのは、この構造です。
派手なPFを「選んだ期間・選んだ通貨・選んだ決済条件」で見せるのは、技術的には簡単です。次の章のヒートマップにも、PF3.84や「10+」というセルが出てきます。そこだけ切り出してサムネイルに載せれば、もっと売れる商品になるでしょうが、それはやりません。母数が数十件のPFを、私は数字として扱わないからです。
第7章 発報から5時間、シグナルの効き方を解剖する
通貨別に入る前に、もうひとつだけ。Rank Aの効果は、発報後いつ現れて、いつまで続くのか。
同一の母集団(N=2,263、母数を完全固定)で、発報から1本後から10本後までの全ホライズンを横断検証しました。母数を固定しているのは、ホライズンごとに母集団が変わると比較が公平でなくなるためです。
| 発報からの経過 | PF | 累積pips | 勝率 |
|---|---|---|---|
| 1本後(30分) | 1.057 | 444.85 | 50.82% |
| 2本後(1時間) | 1.103 | 1,124.10 | 50.64% |
| 3本後(1.5時間) | 1.070 | 976.00 | 50.82% |
| 4本後(2時間) | 1.030 | 489.35 | 49.80% |
| 5本後(2.5時間) | 1.027 | 506.25 | 49.85% |
| 6本後(3時間) | 1.015 | 305.15 | 50.55% |
| 7本後(3.5時間) | 1.028 | 629.40 | 50.07% |
| 8本後(4時間) | 1.059 | 1,392.30 | 50.68% |
| 9本後(4.5時間) | 1.071 | 1,791.15 | 52.01% |
| 10本後(5時間) | 1.097 | 2,616.95 | 52.23% |
分かったことは2つです。
シグナルは発報から約1時間で立ち上がる。 2本後の時点でPFは1.10まで上がります。Rank Aの偏りは、発報直後の初動ですでに現れ始めています。
累積pipsと勝率は、10本後が最大。 中盤でいったん弱含んだ後、8〜10本後で再び強くなるU字を描きます。累積pips(+2,616.95)も勝率(52.23%)も10本後がピークです。「10本先を予測する」という設計は、事後的に全ホライズンを解剖しても妥当だったことになります。
正直に付け加えます。PF単独では、2本後の1.103が10本後の1.097をわずかに上回ります。だからといって「最適保有時間は1時間」とは断言できません。全期間の結果を見てから一番良かった点を選ぶのは事後選択で、過学習の入り口です。実際、ピークとなる本数は通貨ごとに1〜10本の間でばらばらでした。全通貨共通の最適本数は存在しません。
言えるのは「効果は約1時間で立ち上がり、5時間後まで累積で伸びる形が観測された」まで。それ以上を断定する商品ページを見たら、疑ってください。私の商品を含めて。
第8章の前に この章の読み方だけ、先に
次の章では、通貨ごと・年ごとの成績を、負けたセルも含めてそのままお見せします。
見ていただきたいのは色ではなく、N(シグナル数)です。母数の厚いセルと薄いセルでは、同じPFでも意味がまったく違います。ここを一緒に確認できると、この商品との付き合い方がかなり変わります。
第8章 どの通貨で、どう効いたか
見方を先に共有させてください。色ではなく、N(シグナル数)から見てください。
クロス円の4通貨、EURJPY・GBPJPY・AUDJPY・USDJPYは、2022年から2025年にかけて母数が厚く積み上がっています。母数が確保されたセルで、PFはおおむね1.05から2.04の範囲に収まりました。GBPJPYは全年で1.35以上。AUDJPYは2024年にN=409という最大の母数を記録し、その年もPF1.20です。なお2026年は3月までの部分年で、どの通貨も母数は2桁以下です。GBPJPYの2.51も、AUDJPYの「10+」も、この後に書く基準では判断材料になりません。
負けているセルもあります。USDJPYの2024年は0.91。GBPUSDの2022年は0.62、EURUSDの2022年は0.66、EURUSDの2025年は0.77。
このうち、私が一番重く見ているのはUSDJPYの2024年です。N=238。母数が3桁ある中で、唯一1.0を割ったセルだからです。他の負けセルはN=31、N=7、N=33と薄く、良い方にも悪い方にも振れうる範囲ですが、USDJPYの2024年は違います。「主力通貨でも、負ける年は普通に来る」。この事実は、隠すより先に知っておいていただきたい。
そして、極端に良く見えるセルこそ注意してください。GBPUSDの2024年はPF3.84ですが、シグナルは33回しかありません。2026年の「10+」はN=7とN=20です。EURUSDの2026年に至ってはN=1で、参考値としか書きようがありません。前の章に書いたとおり、私はPFの値そのものより何回の試行で出たPFかを見ます。その基準で言えば、母数が2桁以下のセルは通貨を問わず、良い方も悪い方も判断材料になりません。ドルストレートの2通貨は、全年がこれに該当します。3.84も10+も、私は信用していません。
読み取れることはひとつです。
母数が十分にあるクロス円でPFは安定して1.0を超えた。母数の小さいセルは上にも下にも極端に振れた。
だから、使うならクロス円からを推奨とします。具体的に挙げるとすればGBPJPYとUSDJPYです。この2通貨は条件を厳しくした検証②でもプラス側に残りました。2つの検証がどちらも同じ方向を指した通貨、という意味でいちばん土台が厚い領域です。
なお、この通貨別・年別の内訳は検証①のものです。検証②は6通貨をプールした反証テストとして設計しています。2,263件を通貨×年で割ると1セルあたりの母数が細り、この商品ページで掲げている「母数を見る」という基準を破る(統計的根拠が乏しい状態)ことになるため、通貨別の判断材料としては検証①のヒートマップをお使いください。
年によるブレについても書いておきます。ボラティリティの高い年は強く、値動きの静かな年は弱い。この傾向は、どちらの検証にも出ています。コロナショックの2020年、歴史的円安の2022年のような相場で強く出やすく、静かな相場では薄くなります。
これをレジーム依存と呼びます。統計的なエッジを持つ手法は、程度の差はあれほぼすべてこの性質を持ちます。持たないと主張する商品の方が不自然です。
なぜここまで書くのか。あなたが使い始めたとき、必ず弱い局面に遭遇するからです。ドルストレートで連敗する月も来るでしょう。そのとき「想定外だ」となるか、「あのヒートマップに書いてあったな」と受け止められるか。統計的な優位性を運用で活かせるかどうかは、ほとんどこの一点で決まります。
薄いエッジは、短期間の少ない数では収束しません。だから私は、途中でやめたくなる場面を先に書いておきます。
第9章 検証中に見つけた、データの欠陥
検証②を進めていたとき、想定外のことが起きました。未来予報の検証をどこまで疑ってやっているか、その一例としてお読みください。
照合用に使っていた海外ヒストリカルデータの2023年2月から7月分に、6通貨すべてで欠陥があることを発見しました。時間単位でごっそりデータが欠落している、配信元由来の破損です。
わずかな抜けなら実務上は許容されることもあります。しかしこの欠落は規模が違いました。そして未来予報は、過去15,000本の履歴を照合に使う設計です。履歴の途中に大きな穴があると、影響は穴の期間だけで終わりません。15,000本ぶんの窓が通り過ぎるまで、約1年半先まで影のように尾を引きます。
このとき、目の前には2つの道がありました。
道A。気づかなかったことにする。破損データ上で走らせた検証途中の集計はPF1.204。見栄えのいい数字です。破損に気づいた人間は、私しかいません。
道B。破損した6か月を、tickデータ由来でより粒度の細かい別ソースのデータで丸ごと置換し、検証をやり直す。数字がどう変わるかは、やってみるまで分かりません。
データアナリストとして、道Aは選択肢ですらありませんでした。破損したデータの上に立つ数字は、高かろうが低かろうが無意味だからです。
結論として、該当6か月を置換用データで完全置換しました。欠損部分だけの継ぎはぎや月内混在はせず、月単位で丸ごと置換した形です。その上で、修復前後を同一の比較期間(2022-01〜2026-03)・同一条件で監査しました。
| 監査項目 | 修復前 | 修復後 |
|---|---|---|
| 有効なRank Aシグナル数 | 781 | 1,449(+668) |
| 修復で消えたシグナル | ─ | 0件 |
| 両方に共通するシグナル781件のリターン | ─ | 一致(残差0.01pip未満) |
| 履歴ギャップ判定による誤った除外 | 538件 | 0件 |
メカニズムは特定できています。2023年のデータ欠損が15,000本履歴窓のギャップ検知を誤作動させ、本来は有効だった538件のRank Aシグナルを不適格として除外していました。データを修復したことで、隠れていたシグナルが復活したわけです。
シグナル生成ルール自体には一切手を触れていません。パターン長30本、予測10本先、履歴15,000本、通貨別のランク閾値、クールダウン、6通貨構成。すべて修復前後で同一です。復活した668件も、その100%が「破損していた6か月と、履歴窓が通過するまでの影の期間」(2023年2月〜2024年10月)にぴったり収まることを確認しました。
そして、数字は下がりました。
復活した668件は、集計するとPF0.930・累積−671pipsと、やや負け越しのグループでした。その結果、比較期間の全体PFは修復前の1.204から修復後1.075に低下しています。
つまり私は、検証の見た目の成績を下げるために、休日を潰してデータ修復と全再検証をやったことになります。
これは悪化ではありません。破損データは、偶然にも「成績のいいシグナルだけが生き残る」形に母集団を歪めていました。修復後の1.075は、本来含まれるべき負けシグナルも全部含めた、歪みのない全体像です。1.204が幻で、1.075が現実です。
検証①の好成績を土台にしつつ、その裏で、破損データの上に立った幻の数字は自分で崩して現実に直す。派手なPFは誰にでも作れます。この検証プロセスは、真似できません。
第10章 この数字を、どこまで疑って作ったか
「正直にやった」という主張だけなら誰でも言えます。だから、検証プロセスそのものの厳密性も開示します。
- 検証①の再現監査を実施。検証可能なヒートマップ25セル中23セルが、保存されていた元データからの再計算と一致。掲載値が当時のデータとコードから正しく生成されたものであることを確認
- 検証②は回帰QA 26項目すべてPASS。10本後リターンの再計算値は、確定済みの値と小数点以下の桁まで完全一致(PF 1.0974187448116177、累積pips 2616.95…)。計算パイプラインの再現性の証明です
- 未来参照の混入(ルックアヘッドバイアス)を個別検証。予測の答え合わせに使う足の位置がちょうど10本後であること、9本後でも11本後でもないことを、オフバイワンのレベルで確認
- BUY/SELLの符号処理、JPY通貨と非JPY通貨のpips換算、基準価格の取り方を、それぞれ独立に検証
- 未来の足が不足して検証不能なシグナルは、黙って除外せずフラグ付きで明示的に管理。都合の悪いデータをこっそり落とすことを、構造的に不可能にしています
- 合成データによるセルフテスト16項目すべてPASS。わざと作った偽データで、パイプラインが正しく異常を検出できるかを逆方向から確認
なお、開示している数値はいずれもスプレッド・手数料を含まない検証値です。実運用ではこれらのコストが成績に影響します。
そして、未来予報には検証モードが搭載されています。過去の任意のローソク足をCtrl+クリックすると、その足を「当時の現在」とみなして予測を再計算し、その時点で何が表示されていたかを再現できます。v1.40からは全銘柄・全時間足で使えます。
私の検証を信じる必要はありません。購入後、あなたの気になる過去のあの場面をクリックして、ロジックの挙動をご自身の目で確かめられます。ここまで開示してきた検証は、そのための入口にすぎません。
バックテストの数字は、作ろうと思えばいくらでも作れます。だからこそ、数字そのものではなく、数字が生まれる工程を疑い、監査可能な形で残す。企業データ分析の現場で10年やってきた人間の、譲れない流儀です。
第11章 向いている人、向いていない人
ここまで読んでくださった方には、判断材料はほぼ揃っているはずです。整理だけしておきます。
向いていない人
- ボタンひとつの全自動で稼ぎたい人(これはEAではありません)
- 勝率80%やPF3.0のような数字を求めている人(6通貨をプールし条件を厳しくした総合値は、勝率52〜54%・PF約1.10です)
- 数回の連敗で手法を疑い、やめてしまう人(薄いエッジは試行回数が命です。短期間の限られた回数では統計は収束しません)
向いている人
- 自分の裁量トレードに、二重に検証された統計的な偏りという判断軸を1本加えたい人
- なぜこのシグナルが出ているのかを、手法の中身ごと理解して使いたい人
- 派手な宣伝より、弱点まで開示された検証を信頼の基準にしている人
- 特にGBPJPY・USDJPYを触るトレーダー。2つの検証がどちらもプラス側を指した、いちばん土台の厚い通貨です
使い方はシンプルです。M30チャートに未来予報を入れておく。Rank Aが発報されたら、方向と予測分布(メイン線と50%帯・80%線)を確認する。ご自身の環境認識と資金管理に照らして、乗るか見送るかを決める。エントリーしたなら、「効果は約1時間で立ち上がり、5時間後まで累積が伸びた」という観測結果を、保有時間を考える参考として持っておく。
主役はあくまであなたです。未来予報は、あなたの隣で15,000本の過去を毎回めくり続ける、疲れを知らない統計係にすぎません。
よくある質問
Q. MT4では使えますか?
A. 未来予報はMT5専用インジケーターです。過去データの参照、類似パターン探索、相関計算、分布の描画と、処理が比較的重いため、MT5環境を前提に設計しています。MT5を分析用、MT4やスマホを発注用として使い分けることもできます。MT5へのインジケーターの入れ方は、「MT5にインジケーターを入れる方法」で手順をまとめています。
Q. どの通貨ペア・時間足で使うのがいいですか?
A. 検証で確認できた範囲は6通貨ペア×M30のRank Aです。まずはここで使ってください。中でもGBPJPYとUSDJPYは、2つの検証がどちらもプラス側を指した通貨です。v1.40で拡張された他の通貨ペア・時間足の予測表示は、検証範囲外の参考情報として扱ってください。
Q. 2種類の検証数値があるのはなぜですか?
A. 別々の検証だからです。+12,677pipsは実際のブローカー配信データを使い、TP/SLの組み合わせを含めて評価した検証①。PF1.097は独立した海外ヒストリカルデータで、TP/SL評価を排し10本後の終値一点だけで採点し直した、より厳しい条件の検証②です。指標の定義が異なるため直接比較はできません。どちらも検証としては有効で、方向は一致しています。
Q. シグナルはどのくらいの頻度で出ますか?
A. 検証②の期間(2019-04〜2026-06、約7年強)で6通貨合計2,263回のRank A発報でした。6通貨を監視して1日1回前後のペースです。乱発するタイプではありません。偏りが強いときだけ発報する設計だからです。
Q. リペイントしますか?
A. ランク判定は確定足に対して行われます。形成中の足では、バーが更新されるごとに予測表示が変わる場合がありますが、確定したRank Aの履歴矢印はチャート上に残ります。検証では未来参照の混入をオフバイワンのレベルまで個別検証しており、過去のシグナルを後から書き換えて成績を良く見せるようなことはしていません。
Q. 負けが続いたらどう考えればいいですか?
A. 勝率52〜54%の手法は、連敗を普通に起こします。第8章のヒートマップの通り、主力通貨でも負ける年は存在します。判断すべきは1回ずつの勝敗ではなく、十分な試行回数の後でも期待値が出ているかどうかです。だからこそ、負けたセルも先にお見せしています。
Q. Rank Cが多いのですが、正常ですか?
A. 正常です。方向感が薄い場面や、期待値・一致率・リスク方向がそろいにくい場面ではRank Cになります。条件が薄い場面を区別するための表示です。
Q. 注意したほうがよい相場はありますか?
A. 重要指標の前後、急変動時、流動性が低い時間帯、スプレッドが広い場面では、過去パターンと異なる動きになることがあります。表示だけでなく、相場環境も合わせてご確認ください。
Q. アップデートはありますか?
A. 予測ロジックとRank判定基準に変更はありませんが、v1.40まで継続的に改善を重ねてきました。直近では通貨ペア・時間足の拡張、シグナル重複発報の抑制、二重検証レポートの公開などです。
販売者について
るなまる
企業のデータ分析の現場で10年(統計・機械学習・Python)。個人としてのFXトレード歴15年。約5年にわたり、思い込みや相場格言を一次データで検証する記事を書き続けてきました。運営会社、検証の方法、問い合わせ先は「運営者情報」にまとめています。
最後に 未来予報について
未来予報には、実ブローカー配信データで+12,677pipsという検証があります。
ただ、その数字だけで商品の優位性を語り切れるとは考えていませんでした。そこで条件を厳しくした二度目の独立検証を組み、TP/SLの評価を排し、期間を8年に広げ、2,263回で採点し直しました。その最中に見つけた照合データの欠陥も自分で直し、数字が下がった部分も書きました。負けたセルも、母数の薄い派手なセルも、隠していません。
そうして残ったのが、「方式の違う2つの検証が、どちらもプラス側を指した」という一枚のカードです。
派手なカードではありませんが、二度叩いて割れなかったカードです。
チャートの右側は、明日も見えません。それでも、似た過去がどう動いたかを毎回正確に集計してくれる相棒がいるのといないのとでは、5年後の口座は違う場所にいるのではないか。私はそう考えて、この商品を作りました。
ひとつの数字を疑い、二度検証し、それでも残ったもの。その全部が、未来予報です。
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本商品は投資助言を行うものではなく、売買の最終判断はご自身の責任で行ってください。掲載した検証結果は過去データに基づくものであり(スプレッド・手数料は未考慮)、将来の成果を保証するものではありません。

















