こんにちは、るなまるです。
普段はビッグデータの分析を行っているエンジニアです。
いわゆる「データサイエンティスト」という業種ですね。
職業柄データを分析することが得意なため、FXについても様々な角度から検証しています。
いつもはテクニカル分析を中心としたEAを自作していますが、今回はベクトルを変えてEAを作成しました。
■制作の背景
9割のトレーダーが負けていると言われており、その原因を解決するロジックでEAを作成しようと考えたことがきっかけです。
9割のトレーダーが負けている理由
- 資金管理がうまくできず、大きなロスカット
- スプレッドが積み重なり証拠金を減らしていく
- 手法が定まっていない、勝てる手法ではない
- メンタルのコントロールが出来ていない
各トレーダーによって様々ですが、これらが主要な原因となっていることがわかります。
この原因を解決するためには、2通りの方法がありますね。
1.全てを逆にする。
つまり「資金管理を徹底し、勝てる手法を確立して多少負けても平常心で取引を行えば良い」
しかし、現実的にはそう簡単にはいかないですね・・・
2.「損切りをしない」
これは「価格が逆方向に動いて損失を抱えても、価格が戻ってきてプラスになるまで抱え続ける」方法です。
この手法は一長一短ありますが、想定価格帯に留まる間は「勝ち」想定価格帯を抜ければ「負け」といったように、勝ちパターンと負けパターンが明快な特徴があります。
「逃げ切りの刃」はこのように「損切りをしない」前提で作成したリピート型EAです
ドル円:2014年からの推移
ドル円は直近7年間、98円~126円の間で推移しています。
今後しばらくの間もこのレンジ内で推移するのではないか、という前提のもと価格帯の設定を90円から130円にしました。
ロジック
基本的な構成を列挙します。
- 長期保有型のEAであり、ドル円の価格が90円から130円の間に収まることを想定しています。
- 売買ロジックはロングとショートそれぞれ201パターン、合計402パターンで構成されています。
- 90円から130円の間で取引を行うリピート型で、細かく利益を積み上げていくスタイルです。
- 1円ごとに、10個程度のポジションを持ちます。
- 最大保有ポジション数は201です。
- TP(利確)はパラメーター化しているので変更できますが、デフォルトは20pipsで設定しています。
- 20pipsの利益確定をするまでポジションを持ち続けます。(損切りをしない、週末持ち越し有り)
- 利益確定をするとそのポジションは精算され、再度条件を満たすと新たにポジションを持つ仕様です。
ドル円の価格が90円から130円に収まる限り、上記の動作を繰り返し続けます。
解説
リピート型EAの課題は、想定しているレンジを抜けた場合にドカンと負けることです。
そのため救済措置として、指定している価格内以外での新規ポジションを持たないロジックを組み込んでいます。
つまり、ドル円では90円未満、130円以上では新規エントリーを行わず利益確定の決済のみを行います。
この機能は、想定価格帯に留まる間は「勝ち」想定価格帯を抜ければ「負け」といった根本的な問題を解決することは出来ませんが、価格が想定価格帯に戻ってくるまでの時間稼ぎとしての役割を担います。
「逃げ切りの刃」の使い方
価格が長期的なレンジを抜ける前に小刻みに取引を行い、逃げ切りを狙います。
証拠金△△万スタート
→ レンジを抜ける前に△△万を増やし出金
→ 残り△△万で長期的なレンジを抜けるまで利益を上げ続ける
バックテスト(3年間)
取引期間:2018年1月2日~2020年12月31日(3年間)
通貨ペア:ドル円
スプレッド:1pips
スリッページ:2pips
時間足:1分足
テイクプロフィット:20pips
ストップロス:無し
ロット数:0.01ロット
初期証拠金:100万円
バックテスト結果(3年間)
総取引回数は4016回、最大損失は10万、残高が68万増えて純利益は27万円でした。
上図右側で青線が急降下している理由は、テスト終了日で含み損も決済されるためです。
バックテストの結果はゆるやかな右肩上がりとなりました。
取引結果の分析
取引開始時の価格は112.60円、期間中の最高値は114.57円、最安値が101.09円 取引終了時は103.50円となっています。
3年間で27万の利益は少なく感じますが、純利益はロット数に依存するため0.02ロットなら54万、0.1ロットなら270万の純利益になります。
続いて、期待値を見ていきましょう。
取引回数が4016回、勝率95%なので3810回が勝ち取引です。
市場が開いているのは年間でおよそ260日、3年間で780日とすると
1日平均は 3810 ÷ 780 = 4.88 回の勝ち取引となります。
つまり20pipsの利確を5回、1日当たり100pipsを取っている計算になります。
よって、(開始日からの日数 × 100pips) ー 含み損 = 損益となるため、長期的な運用が適しています。
「逃げ切りの刃」は「取引開始時の価格と期間中の最高値」また「取引開始時の価格と期間中の最安値」のそれぞれの乖離が小さいほど利益を積み上げやすい(含み損が少ない)特徴があります。
今回の開始時から終了時の価格の変動幅は
114.57 – 112.60 = 1.97円
112.60 – 101.09 = 11.51円
上記変動幅では3年間で証拠金の最大減少額が10万円でした。
バックテスト(7年間)
取引期間:2014年2月1日~2021年1月31日(7年間)
通貨ペア:ドル円
スプレッド:1pips
スリッページ:2pips
時間足:1分足
テイクプロフィット:20pips
ストップロス:無し
ロット数:0.01ロット
初期証拠金:200万円
バックテスト結果(7年間)
こちらも右肩上がりの結果となり、0.01ロットながら45万9425円の利益でした。
しかし、注目すべき点としては2014年から2016年にかけてドル円は100円から126円、そしてその後98円へと乱高下しています。
リピート型EAにとって価格が大きく変動する相場を苦手としますが、2014年から2016年はまさにそのような相場でした。
この間の最大ドローダウンは109万4786円となり、資金力でカバーして持ち直す動きとなっています。
今後もこのような値動きも想定するべきと考えると、高確率で勝ち続けるために必要な資金は100万円以上となります。
つまり、リピート型EAは直近3年間のような値動きの場合は高確率で資金が増えていくが、2014年から2016年のように相場が大きく動いた場合は資金力でカバーするしかなくなってしまうといった特徴があります。
考察
「逃げ切りの刃」は長期的に運用することにより、冒頭で述べた9割が負けている原因の大部分を解決しています。
資金管理がうまくできず、大きなロスカット
・・・事前に想定される損益がある程度わかっているため、EA設定時に適切なロット数にすれば解決します。「逃げ切りの刃」は含み損を必ず抱える仕様であるため稼働してしばらくは初期証拠金を下回りますが、少しずつ残高を積み上げていく結果が出ています。
スプレッドが積み重なり証拠金を減らしていく
・・・「逃げ切りの刃」のロジックは、スプレッドの値に関わらずポジション毎に20pipsの利幅で決済するため、スプレッドの影響をほとんど受けません。
手法が定まっていない、勝てる手法ではない
・・・長期的なレンジをブレイクしない限り、残高を積み上げる結果がでています。
メンタルのコントロールが出来ない
・・・24時間自動売買のため、メンタルが取引に影響することはありません。しかし、含み損を抱え続ける仕様のため含み損への理解は必要です。
デメリット
細かく利益を積み上げていくEAのため、短期間で大きく稼ぐことは出来ない
・・・開始からしばらくの間は証拠金が減り、徐々に少しずつ利益を上げていくEAです。年単位での長期的な手法となります。
想定している長期のレンジをブレイクした場合は退場リスクがある
・・・ドル円が150円になる。もしくは50円になるなど、想定外の価格になった場合は資金が足りずに退場してしまう可能性が高まります。
救済措置として90円以下、130円以上では新規エントリーを行わないロジックを組み込んでいますが、レンジ内に価格が戻ってこない限り厳しい結果になりかねません。
逆にとらえると、想定している長期のレンジ内に価格が収まっている限り永続的に利益を生み続ける可能性が高まります。
この点については、長期的に想定しているレンジ内に留まるかどうかの不確定要素をどのように捉えるかで「逃げ切りの刃」の評価が変わってくるでしょう。
対応業者
特に指定は有りませんが、最大ポジション数(201個)に対応している業者となります。
パラメーター
Lots・・・ロット数。
StopLoss・・・ストップロス。損切りを行わないため、0.0を指定
TakeProfit・・・利益確定のpip数。デフォルトは20を指定。
Slippage・・・スリッページ。デフォルトは2を指定。
マジックナンバー・・・1~402を使用しています。
※他のEAと併用する際はマジックナンバーが重複しないようにして下さい。
時間足は1分足に対応しています。
ご覧いただきありがとうございました。
投資家の皆様のお役に立てれば幸いです。
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※只今プログラム改修中です。
下記、公開中
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