ロンドンFix・NYカット前にFXは動く?ドル円M5データで検証

ロンドンFixとNYカット前の主要4パターンが平均マイナスだったことを示すアイキャッチ画像 統計トレード攻略
有名な時間帯でも、方向へ素直に乗るだけで平均優位が残るとは限りません。

統計トレード攻略

ロンドンFixとNYカット前は、為替でよく話題になる有名な時間帯です。ただ、「注目されやすい時間」と「単純にその方向へ入れば平均で取れること」は別です。今回は USDJPY・TDSから取得したM5 OHLCデータ・2015-01-01 22:00〜2025-12-31 21:55 の 820,078バーを使い、主要4パターンの平均リターンを確認しました。

先に結論

  • 主要4パターンの平均リターンは -0.20〜-0.80 pips で、すべてマイナスでした。
  • p=0.0097 と小さく見えるパターンでも、平均は利益方向ではなく -0.68 pips でした。
  • 固定0.5pipsを約定価格へ反映したあとでも、単純な時間帯エッジは確認できませんでした。
ロンドンFixとNYカット前の主要4パターンが平均マイナスだったことを示すアイキャッチ画像
有名な時間帯でも、方向へ素直に乗るだけで平均優位が残るとは限りません。
みか

みか

ロンドンFixとかNYカット前って、FXではよく聞く時間帯だよね。ああいう有名どころなら取りやすいのかな。

たくや

たくや

時間そのものに意味があるなら、方向だけ合わせれば乗れそうにも見えます。

るなまる

るなまる

今回はそこを機械的に切り出して、単純に入ったときの平均リターンが本当に残るのかを確かめました。

ロンドンFix・NYカット前後に値動きの偏りはあった?

今回はPFではなく、時間帯アノマリーの平均リターンを見ていますが、読み方の基本は同じです。名前が知られていることや、SNSで語られやすいことだけでは、実際の平均成績までは決まりません。まずは「その条件を機械的に切り出したら、平均でどちらに残ったか」を確認します。

ロンドンFixとNYカット前の主要4パターンについて、平均リターン・件数・p値を並べた比較図
図1: ロンドンFix / NYカット前の主要4パターン。平均リターンはすべてマイナスで、p値だけでは使い勝手を判断できません。

特に目立つのはロンドンFix売りです。p値は 0.0097 と小さく見えますが、平均は -0.68 pips でした。つまり、「差がありそう」に見えても、それがそのまま利益方向の差だとは言えません。NYカット前買いも p=0.0525 と近い数字ですが、平均は -0.80 pips です。

ロンドンFixとNYカットとは?

ロンドンFixは、為替で基準時刻として意識されやすい時間帯の一つです。指数連動やリバランスの話題とセットで語られることが多く、「この前後は動きやすい」と言われがちです。

NYカット前は、通貨オプションの期限に絡んで注目されやすい時間帯です。この記事で扱うのは NYクローズ そのものではありません。あくまで、スクリプトで定義された GMT14:00 を起点にした時間帯集計 を見ています。

今回はいつからいつまでを見た?

  • 通貨ペア: USDJPY
  • 足種: M5
  • データ: TDSから取得したM5 OHLCデータ
  • 期間: 2015-01-01 22:00 〜 2025-12-31 21:55
  • 総バー数: 820,078
  • 対象: 平日のロンドンFix側 2方向、NYカット前側 2方向

ここで大事なのは、今回は固定GMTの時間帯で集計している点です。ロンドンやニューヨークの現地時計に合わせて夏時間(DST)まで追い込んだ「完全なイベント整列」ではありません。そのため、この記事の結果は現地イベントの厳密再現ではなく、固定GMT時間帯で近似的に切り出した集計として読む必要があります。

ロンドンFix側とNYカット前側のシグナル時刻、保有時間、コスト処理、DSTに関する注意点をまとめた図
図2: 今回の時間基準。固定GMTで切った時間帯集計であり、現地DSTに完全整列した検証ではありません。
たくや

たくや

NYカット前って、NYクローズと同じ話だと思っていました。

みか

みか

しかもGMTで切るのか、現地時間で見るのかでも印象が変わりそう。

るなまる

るなまる

そこは大事です。今回は固定GMTの時間帯集計で、現地DSTまで追った完全なイベント整列ではありません。

固定0.5pips控除後も結果は残った?

今回の平均リターンは、固定0.5pipsを約定価格へ反映した後の値です。計算上は、買いは次バー始値に0.5pipsを足して入り、売りは次バー始値から0.5pipsを引いて入ります。その後の損益から平均とp値を計算しています。

ただし、これはあくまで固定コストの再現です。変動スプレッド、滑り、手数料、約定拒否までは反映していません。したがって、実運用では今回より不利になる可能性もあります。少なくとも「あとでスプレッドだけ引けばいい」という見方ではありません。

この結果をトレード前にどう使う?

使い方はシンプルで、有名な時間帯だから有利と決めつけないことです。まず確認したいのは、方向を決める前に「何回出たのか」「平均がプラスか」「コスト込みか」「時間基準は現地かGMTか」です。

今回のように、p値が小さくても平均が利益方向に残らないケースがあります。逆に、見た目の印象ほど差がない可能性もあります。時間帯はエントリー理由そのものではなく、検証の出発点として扱う方が安全です。

みか

みか

有名な時間帯かどうかより、何回出ていて、コスト込みでどうだったかを先に見た方がよさそう。

たくや

たくや

p値だけで飛びつくと、平均が残らないケースを見落としそうですね。

るなまる

るなまる

その通りです。時間帯の名前より、件数・平均・時間基準・コスト前提をセットで読みます。

詳しい検証条件と統計値

今回の集計は、ロンドンFix側を平日 GMT15:30、NYカット前側を平日 GMT14:00 のシグナル時刻として切り出し、買い方向と売り方向を別々に評価しています。約定は次バー始値、保有はロンドンFix側が約30分、NYカット前側が約60分です。

ロンドンFix 売り

シグナル時刻

GMT 15:30

方向

売り

保有時間

約30分

N

2,848

平均リターン

-0.68 pips

p値

0.0097

標準偏差

14.05

p値は小さいが平均はマイナス

ロンドンFix 買い

シグナル時刻

GMT 15:30

方向

買い

保有時間

約30分

N

2,848

平均リターン

-0.32 pips

p値

0.2274

標準偏差

14.05

平均はマイナス

NYカット前 買い

シグナル時刻

GMT 14:00

方向

買い

保有時間

約60分

N

2,846

平均リターン

-0.80 pips

p値

0.0525

標準偏差

21.90

p値は近いが平均はマイナス

NYカット前 売り

シグナル時刻

GMT 14:00

方向

売り

保有時間

約60分

N

2,846

平均リターン

-0.20 pips

p値

0.6197

標準偏差

21.90

平均はマイナス

p値は 1標本t検定(平均リターンが 0 からどれだけ離れているかを見る検定)で計算されています。確認できた範囲では、Holm法・BH法(候補が多いときの偶然の当たりを割り引く補正)などの多重比較補正は入っていません。

この検証結果を見るときの注意点

  • 今回は固定GMTで切った時間帯集計で、現地DSTに完全整列したイベント検証ではありません。
  • 固定0.5pipsは反映していますが、変動スプレッド・滑り・手数料・約定拒否は未反映です。
  • p値は参考指標ですが、多重比較補正までは確認できていません。したがって「統計的に証明された優位」とまでは書けません。
  • 平均がマイナスだった以上、「この時間だから買い」「この時間だから売り」という単純ルールへ飛びつく材料にはなりません。

FAQ

Q. NYカット前とNYクローズは同じですか?

A. 同じではありません。この記事で扱うのは GMT14:00 を起点にした NYカット前側の時間帯で、NYクローズ をそのまま検証したものではありません。

Q. p値が小さければ、その時間帯は使えるのですか?

A. いいえ。今回のロンドンFix売りは p=0.0097 でしたが、平均リターンは -0.68 pips でした。差がありそうに見えても、利益方向に残るとは限りません。

Q. 現地の夏時間まで合わせた検証ですか?

A. そこまではしていません。今回は固定GMTの時間帯集計で、ロンドンやニューヨークの現地時計にDSTまで合わせた完全なイベント整列ではありません。

Q. 実運用コストもそのまま入っていますか?

A. 固定0.5pipsは約定価格へ反映していますが、変動スプレッド、滑り、手数料、約定拒否は再現していません。

Q. この結果だけでエントリー判断に使えますか?

A. 使えません。今回は有名時間帯に機械的な平均優位が残るかを見た探索的な確認です。方向決定の前に、時間基準、件数、コスト、別期間での再現性も合わせて見ます。

まとめ|時間帯だけで優位に飛びつかない

今回の USDJPY・TDSから取得したM5 OHLCデータ・2015〜2025年では、ロンドンFix / NYカット前の主要4パターンは固定0.5pips反映後の平均リターンがすべてマイナスでした。p値が小さく見えるケースがあっても、単純な時間帯エッジが利益方向に残ったとは言えません。

有名な時間帯は、注目されるからこそ強そうに見えます。だからこそ、名前で入るのではなく、時間基準・件数・コスト・平均値を分けて確認してから使う、という順番が大切です。

たくや

たくや

次からは『有名だから入る』じゃなくて、まず検証条件を確認します。

みか

みか

時間帯はヒントであって、そのままエントリー理由にはしない、という感じだね。

るなまる

るなまる

その見方ができれば十分です。思い込みを減らすために、数字を一つずつ分解していきましょう。

このシリーズの他の記事は、統計トレード攻略ガイドでまとめています。

この結果を時間帯の見直しに使う

今回の結果は、ロンドンFixやNYカットという名前だけで判断するより、その前後で実際にどの時間帯が動きやすいかを確認する材料として使いやすいです。毎日同じ時刻を待つより、時間帯ごとの動き方を見ながら優先順位を決めるほうが整理しやすくなります。

当サイトのボラティリティヒートマップなら、通貨ペアごとの動きやすい時間帯を一覧で見比べられます。日々の確認順を決めたいときの材料として使えます。

ボラティリティヒートマップで時間帯を確認する

るなまるの検証メモ

本検証は、現地のサマータイムに合わせたイベント時刻ではなく、固定GMTによる時間帯集計です。買いと売りを分け、次バー始値に固定0.5pipsを反映して比較しています。

ロンドンFixやNYカット前という有名な時間帯でも、今回の条件では売買ルールとして安定した優位性は確認できませんでした。固定時刻だけを根拠にエントリーする前に、時刻の定義とコストを分けて見る必要があります。

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この記事を書いた人

るなまる

るなまる|データアナリスト

Python・統計を使ったFXの検証を2018年から継続。長期ヒストリカルデータをもとに、相場でよく聞く説やバックテスト結果を検証しています。
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