ゴトー日や仲値は、ドル円ではよく知られた相場の話題です。ただ、有名だからといって、そのまま売買に使えるとは限りません。今回はドル円5分足の820,078バーを使い、ゴトー日・仲値を含む35変種を同じ条件で見直しました。
先に結論
- 2015年〜2025年のドル円M5データで、ゴトー日・仲値を含む35変種を確認しました。
- p<0.05 かつ平均プラス(p<0.05は偶然とは考えにくいと判断する目安です)を同時に満たした条件は0件でした。
- 有意だった5変種も、1回あたりの平均損益はすべてマイナスでした。


みか
ゴトー日は仲値に向けて上がりやすい、ってよく聞くよね。だったら素直に買えばいいのかな。

たくや
有名な話だから、ついそのまま使えそうに見えます。ぼくも細かい数字までは見ていませんでした。

るなまる
今回はその思い込みをいったん外して、件数やコストも含めて同じ形で並べ直しました。
ゴトー日・仲値は本当に有利なのか
今回の結論はシンプルです。ゴトー日・仲値を含む35変種の中で、平均損益がプラスで、しかも統計的な裏づけもある条件は見つかりませんでした。
しかも、見かけ上は目立った差が出ていた条件でも、平均損益は利益方向ではなくマイナス側に寄っていました。つまり「話題として有名」と「売買ルールとして使える」は別の話です。
この記事でいちばん伝えたいこと
アノマリーを見るときは、平均損益だけでも、p値だけでも足りません。方向、件数、コストまでそろえて見てはじめて、実際に使えそうかどうかが見えてきます。
ゴトー日・仲値とは?
この記事でいうゴトー日は、5日・10日・15日・20日・25日と、月末の最終営業日です。土日に当たるときは前の営業日に寄せて数えています。
仲値は、日本時間の午前9時55分ごろに決まる基準レートです。輸入企業のドル買いが集まりやすいと言われるため、「ゴトー日は仲値に向けてドル円が上がりやすい」という話が広がりやすくなります。


たくや
話としては筋が通っているように見えますね。

るなまる
そうなんです。だからこそ、話の説得力ではなく、実際の数字を見て確認する必要があります。
今回の検証条件
| 通貨ペア | USDJPY |
|---|---|
| 時間足 | M5 |
| 検証期間 | 2015-01-01 22:00〜2025-12-31 21:55 |
| バー数 | 820,078バー |
| 対象 | ゴトー日・仲値を含む35変種 |
| データソース | TDS系のM5 OHLCデータ |
| 代表的な条件 | ゴトー日当日GMT0:00買い→0:55手仕舞い、前日GMT21:00買い→翌0:55手仕舞い、仲値後GMT0:50買い→2時間後手仕舞い |
| コスト前提 | 固定0.5pipsを新規約定価格に反映 |
コストの読み方
今回の平均損益は、固定0.5pipsを入れたうえで計算しています。コストをまったく入れていない比較ではありません。ただし、変動スプレッド、滑り、手数料、約定拒否、ブローカー差までは再現していません。
検証結果|有名アノマリーは数字で残った?
全体では、35変種のうち有利な条件として残ったものは0件でした。見かけ上は有意だった条件が5つありましたが、どれも平均損益はプラスではなく、むしろマイナス側です。

さらに、別の東京時間ベースの手法に足したときも、PF(総利益÷総損失で見る指標)1.2以上の組み合わせは0件、PF1.1以上でも0件でした。単体でも、足し合わせでも、簡単には優位性が残らなかったと読めます。
平均だけで判断しない方がいい理由
有意だった条件があるなら使えそう、と感じるかもしれません。でも今回のように、差は出ていても向きがマイナスなら、そのままでは利益につながりません。

| 条件 | 件数 | 1回あたりの平均損益 | p値 | 読み取り |
|---|---|---|---|---|
| ゴトー日前日NY引け買い | 679 | −1.21 pips | 0.0003 | 有意でも平均はマイナス |
| ゴトー日仲値買い | 783 | −1.00 pips | 0.0330 | 通説どおりの買いでも平均は残らず |
| 仲値後買い | 2,849 | −1.06 pips | 0.0143 | 回数が多くても利益方向ではない |
| 木曜・東京買い | 572 | −1.95 pips | 0.0032 | 有意でも負け方向の差 |
| マンデーギャップ・フェード買い | 169 | −3.05 pips | 0.1053 | 平均もマイナスで有意でもない |

みか
たしかに、平均との差があることと、利益が残ることは別なんだね。

たくや
件数が多い条件でもマイナスなら、印象だけでは判断できないですね。

るなまる
そうです。平均、件数、コストを一緒に見ると、見え方がかなり変わります。
トレードに使う前に確認したいポイント
- 有名な話をそのまま信じず、まず条件を決めて検証する
- 1回あたりの平均損益だけでなく、件数やばらつきも一緒に見る
- 固定コストで厳しいなら、実運用の変動コストではさらに厳しくなりやすいと考える
- 直近だけよく見えていないか、別期間でも見直す
今回の結果は、ゴトー日や仲値の話を全部否定するためのものではありません。「有名だから採用」ではなく、自分の条件で確かめてから使うための出発点として見るのが大切です。
この検証結果を見るときの注意点
- 今回はドル円M5の集計結果であり、他の通貨ペアや別の時間足をそのまま保証するものではありません。
- 固定0.5pipsは反映していますが、変動スプレッド、滑り、手数料、約定拒否は再現していません。
- 35変種を同じ土台で並べた結果であり、将来も同じ平均になるとは限りません。
- 勝率やPFなどの別指標を推定で補っておらず、公開しているのは確認できた数値だけです。
FAQ
Q. ゴトー日は仲値に向けて買えば取りやすいですか?
A. 今回のドル円データでは、そのまま買えば有利と言える形は確認できませんでした。ゴトー日仲値買いは平均−1.00 pips、前日NY引けからの買いも平均−1.21 pipsでした。
Q. p値が小さいのに勝てないのはなぜですか?
A. p値が小さいのは差があるという意味で、利益方向に有利という意味ではありません。今回の有意5変種はすべて平均損益がマイナスでした。
Q. ゴトー日はこの記事ではどう定義していますか?
A. 5日、10日、15日、20日、25日と、月末の最終営業日です。土日に当たる場合は前の営業日に寄せて数えています。
Q. この検証は実際の取引をそのまま再現していますか?
A. 固定0.5pipsは反映していますが、変動スプレッド、滑り、手数料、約定拒否、ブローカー差までは再現していません。将来の利益を保証するものでもありません。
まとめ|有名アノマリーも数字で確認する
ドル円M5の820,078バーで見た今回の結果では、ゴトー日・仲値を含む35変種の中に、そのまま有利と言える条件は残りませんでした。
大事なのは、話題の強さではなく、平均損益、件数、コスト、別期間での見え方まで含めて確認することです。有名なアノマリーほど、いちど数字に戻して見る価値があります。

たくや
次からは『よく聞く話』だけで飛びつかず、数字を先に見ます。

みか
平均だけじゃなくて、件数やコストも一緒に見るようにするね。

るなまる
その確認ができるだけで、思い込みで入りにくくなります。
この結果をアノマリーの見方を見直す材料に使う
今回の結果を見ると、ゴトー日や仲値だけを根拠にして入るよりも、「その傾向が本当に安定しているか」を先に見直すほうが整理しやすくなります。時間帯のコストや他の俗説もあわせて見る前提にしておくと、一つの話だけで判断しにくくなります。
次に確認するなら、条件を広げたときに良く見えるものがどれだけ増えるかを見た多重検定の検証がつながりやすいです。見かけ上の優位性をどう見分けるかから整理したい人は、続けて見ると理解しやすくなります。
るなまるの検証メモ
ゴトー日は5日・10日・15日・20日・25日と月末最終営業日として集計し、仲値前後を含む35変種を同じ固定0.5pipsのコスト前提で比較しました。
今回の条件では、有名な通説であっても、売買ルールとしての明確な優位性は確認できませんでした。一部のp値が小さい条件もありましたが、平均損益はプラスに残っていません。
次に読む記事
アノマリーをたくさん試すと何が起きるのかを見たい方は、多重検定の記事もどうぞ。
週明けの窓が本当に使えるのかを見たい方は、マンデーギャップの検証も参考になります。
別の期間でも残るのかを確かめたい方は、ウォークフォワードとOOSの見方も合わせてご覧ください。
