
みか
ポンド円ってスプレッドが重いってよく聞くけど、ドル円と比べてどれくらい違うの?

たくや
感覚的には広いと思うんですが、数字で見たことはないです。

るなまる
今回はDukascopyのティックデータを使って、ポンド円とドル円のスプレッドを16年分実測して比べます。
先に結論
- ポンド円(GBPJPY)のスプレッドは、中央値で見るとドル円(USDJPY)の3.8倍でした。
- 平均で見ると3.57倍とやや小さくなります。これはロールオーバー帯の急拡大が平均を押し上げるためです。
- 全期間の中央値比は3.8倍でしたが、2022〜2026年に限ると約3.4〜3.7倍です。
- 縮んだ主因はポンド円が狭くなったからではなく、ドル円側のスプレッドが拡大したためです。
対象ペア
USDJPY / GBPJPY
サンプル数
約1,176万分
中央値の比
3.8倍
期間
2010〜2026年
実測でどれだけ違ったか
ポンド円は値動きが大きい通貨ペアとして知られていますが、コスト面であるスプレッドも実際に広いのか、実測したデータはあまり出回っていません。今回はDukascopyのティックデータを使い、2010年から2026年までの気配値スプレッドを1分ごとに集計し、ドル円と比べました。
結論から言うと、中央値で見て3.8倍という明確な差がありました。ただし、見方によって数字が変わる点も含めて、順番に確認していきます。
今回の検証条件
今回はDukascopyが配信する気配値ティック(ask・bid)を使い、1分ごとにそのなかのtickスプレッドの中央値を代表値として集計しました。「◯倍」という比較は、中央値同士・平均同士をそれぞれ別に計算しており、混ぜていません。
検証条件の要点
- 対象: USDJPY / GBPJPY
- 期間: 2010年〜2026年(取得済み最新まで)
- 集計単位: (ask−bid)/pipを1分ごとに中央値化した「per-minute代表spread」
- サンプル数: USDJPY 5,880,445分 / GBPJPY 5,880,385分
- タイムゾーン: UTC固定で集計(サマータイムによる境界移動は補正していません)
- 異常値処理: ask≤0、bid≤0、ask<bidの異常tickは除外
この記事で扱っているのは気配値スプレッドであり、実際に約定する取引コストそのものではありません。実際のコストは口座・時間帯・約定方式によって変わるため、この記事の数字と合わせて、実際の口座では提示値や約定条件が異なるため、利用中の口座でも確認が必要です。
実測すると何倍だった?
ドル円の中央値0.50pipsに対して、ポンド円は1.90pips。比率にすると3.8倍です。平均で見ると0.64pips対2.28pipsで3.57倍、上位5%の水準(p95)では1.30pips対4.00pipsで3.08倍でした。

「中央値」と「平均」で倍率が微妙に違うのは、平均のほうがスプレッドが跳ねる場面(あとで見るロールオーバー帯など)に引っ張られやすいためです。この記事では中央値を主軸にしつつ、平均も参考値として併記しています。

たくや
中央値と平均で倍率が違うのが気になります。どっちを見ればいいんですか?

普段の感覚に近いのは中央値です。平均は一部の急拡大に引っ張られるので、両方見ておくと実態がつかみやすくなります。
差は年々縮んできた
2010年から2026年までを年別に見ると、比率は一定ではありません。2015〜2021年は中央値比で4.5〜5.3倍まで広がっていた一方、2022〜2026年は約3.4〜3.7倍まで縮んでいます。

ここで誤解しやすいのは縮んだ理由です。ポンド円のスプレッドが狭くなったのではなく、ドル円側のスプレッドが拡大したことが主な要因です。全期間の比率3.8倍は、ドル円が極端に狭かった時代(2015〜2021年)に押し上げられた数字です。直近だけを見るなら、2022〜2026年の3.4〜3.7倍程度が目安になります。
ロールオーバー時間帯はさらに広がる
ポンド円のスプレッドを時間帯別(JST)に見ると、日中はおおむね1.7〜2.0pipsで安定していますが、ロールオーバー帯(JST6時前後)だけ中央値4.4pipsまで急拡大します。日中の最も狭い時間帯と比べると、2.6倍近い差です。

このロールオーバー帯は、中央値と平均の差が最も大きく出る時間帯でもあります。中央値4.4pipsに対して平均は6.69pipsと、平均のほうが約1.52倍高くなります。ごく一部の急拡大が平均を押し上げているため、「平均だけ」を見るとこの時間帯の実態を過大に感じやすくなります。
ざっくりした見方
- 日中(JST16時〜翌0時あたり)は比較的落ち着いた水準
- ロールオーバー帯(JST6〜7時)だけ突出して広がる
- この時間帯は中央値より平均のほうが跳ねやすい(スパイクの影響)
この検証結果を見るときの注意点
- 今回の数値はDukascopy由来の気配値スプレッドであり、実際に約定するコストそのものではありません。
- 「ポンド円は荒いからスプレッドが広い」という単純な因果では説明できません。流動性・取引時間帯・板の薄さなど複数の要因が複合していると考えられます。
- サマータイムによるセッション境界の移動は補正していません。
- 将来のスプレッドや、すべての口座で同じ数値になることを保証するものではありません。
FAQ
Q. ポンド円のスプレッドはドル円の何倍ですか?
A. 中央値で見ると3.8倍でした。平均では3.57倍とやや小さくなります。中央値と平均で違うのは、ロールオーバー帯のような急拡大が平均を押し上げやすいためです。
Q. この差は今後も同じですか?
A. 保証はできません。実際に2015〜2021年は4.5〜5.3倍、2022〜2026年は約3.4〜3.7倍と、時期によって変わっています。縮小の主因はポンド円ではなくドル円側のスプレッド拡大です。
Q. スプレッドが特に広がる時間はありますか?
A. あります。ロールオーバー帯(JST6時前後)は中央値4.4pipsまで拡大し、日中の最も狭い時間帯の2.6倍近くになります。
Q. この数字は自分の口座でもそのまま出ますか?
A. そのままとは限りません。今回の数値はDukascopy由来の気配値スプレッドであり、実際の口座の提示値・約定方式によって変わります。自分が使う口座の条件もあわせて確認してください。
まとめ|ポンド円のコストはドル円よりはっきり重い
今回の実測では、ポンド円のスプレッドは中央値でドル円の3.8倍でした。この差は年々縮小傾向にありますが、主因はポンド円が狭くなったからではなくドル円が拡大したためです。また、ロールオーバー帯は特に広がりやすく、平均だけを見ると実態より重く感じやすい点にも注意が必要です。

みか
3.8倍って聞くと驚くけど、時期やロールオーバー帯まで見ると納得感があるね。

一つの倍率だけで判断せず、中央値・平均・時間帯まで見ると実態に近づきます。
スプレッドが実際の取引コストにどれくらい影響するかを数字で確認したい方は、無料のスプレッドコスト計算ツールも参考になります。
銘柄によるスプレッドの違いも確認したい方は、8銘柄のスプレッド比較もあわせてご覧ください。
この結果を通貨ペア選びの確認に使う
今回の結果は、「ポンド円は避ける」と決めるためよりも、値幅が出やすい通貨ペアほどスプレッド負担も重くなりやすい、と整理する材料になります。まずは値幅だけでなくコスト差も見ながら、小さめの取引で自分に合う通貨ペアの感触を確かめる流れにすると使いやすくなります。
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るなまるの検証メモ
Dukascopyの気配値ティックを1分単位に集計し、USDJPYとGBPJPYの中央値・平均・p95を比較しました。年別推移と時間帯別(ロールオーバー帯)も同じ集計から確認しています。
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通貨ペアごとのスプレッド差をまとめて見たい方は、8銘柄のスプレッド差をまとめた比較記事も参考になります。
この記事を書いた人

るなまる|データアナリスト
Python・統計を使ったFXの検証を2018年から継続。長期ヒストリカルデータをもとに、相場でよく聞く説やバックテスト結果を検証しています。 プロフィールはこちら
