バックテストは長期データと直近データのどちらを見るべき?役割の違いを実データで検証

長期データは耐久テスト、直近データはレジーム確認という役割の違いと、1,728回中66.7%がイベント数不足だったことを示すアイキャッチ画像 統計トレード攻略
2010〜2019の長期固定基準を2022〜2024へ当てはめると、1,728回中1,152回(66.7%)がイベント数不足だったことを要点でまとめた図。

たくや

たくや

昔から長く取ったバックテストが良かったら、もう十分って思ってしまいます。

みか

みか

でも、今の相場って昔と同じじゃないよね。長く見ればそれで十分なのかな?

るなまる

るなまる

そこが今回のテーマです。長期と直近は、どちらが上かではなく役割が違います。

この記事の先出し

今回確認したのは、長期で作った固定基準を、直近の相場へそのまま持ち込んだときに十分な回数が残るかです。

USDJPYの2010〜2019固定ATR基準(ATRは値動きの荒れ具合を示す指標です)を、2022〜2024の6通貨ペアM30へ当てはめたところ、1,728回中1,152回(66.7%)がイベント数不足でした。

つまり、長期データだけで『良さそう』に見えた条件でも、直近へ持ち込むと勝ち負けを見る前に材料不足になることがあります。

バックテストは長期だけでも直近だけでも判断しにくい

長い期間で良かったからといって、今の相場でもそのまま機能するとは限りません。逆に、直近だけ良く見えても、たまたまの可能性が残ります。

今回の確定データでも、長期側の固定基準を直近へそのまま当てはめると、約3分の2がイベント数不足でした。これは、どちらか片方だけでは読み違える、という具体例です。

長期データと直近データでは何が違う?

  • 長期データは、悪い年・異常値・高ボラ・低ボラまで含めて崩れないかを見るための材料です。
  • 直近データは、今のレジーム(相場の性格)でもその条件が十分に出るかを見るための材料です。
  • 長期は耐久テスト、直近はレジーム確認。役割を混ぜない方が読みやすくなります。
長期データと直近データの役割を左右で比較した図
長期データは耐久テスト、直近データはレジーム確認。役割を分けて読む。
たくや

たくや

じゃあ、長期で決めた基準をそのまま今へ当てればいいんですよね?

みか

みか

その『そのまま』が危ないのかも。今の相場の出方が違ったら、前提ごと変わりそう。

るなまる

るなまる

そのズレが今回の数字に出ています。次で条件を確認しましょう。

今回の検証条件

項目確認内容
長期固定基準USDJPY M30 ATR(14) の固定参照
長期基準の期間2010-01-03 22:00〜2019-12-31 21:30(UTC)
長期側のデータ量ATR値 119,725件 / 元M30バー 119,738本
直近への適用対象USDJPY / AUDJPY / EURJPY / GBPJPY / EURUSD / GBPUSD
直近側の期間2022-01-01〜2023-12-31を調整用、2024-01-01〜2024-12-31を検証用として確認
時間足M30
データソースDukascopyのヒストリカルデータをもとに集計
中心指標イベント数不足の件数と割合
総当てはめ回数1,728回
イベント数不足1,152回(66.7%)
補足PF・勝率・平均損益は今回の公開結論の中心指標ではない
コストスプレッドは含めていません(損益評価ではなく当てはまり回数の判定のため)

この公開版で見ていないもの

  • 個々のセルの採用条件や閾値の細部
  • PF・勝率・平均損益を使った優位性の断定
  • 実運用の変動スプレッド・滑り・約定拒否の再現

長期と直近で何が起きた?

長期側の固定基準を、2022〜2024の直近データへ当てはめた総数は1,728回でした。そのうち1,152回は、条件に当てはまる回数が少なすぎるイベント数不足でした。

公開用に言い換えると、勝ち負けを見る前に、そもそも判断材料が足りないケースが多かったということです。

1,728回中1,152回がイベント数不足だったことを示す結果図
1,728回のうち1,152回(66.7%)がイベント数不足。中心は損益比較ではなく当てはまり回数の不足率。

この数値の読み方

この66.7%は売買コストの話ではありません。長期固定基準を直近へ持ち込んだとき、判断できるほど条件が出るかどうか、という『手前の段階』の話です。

片方だけ良く見える結果をどう扱う?

  • 長期だけ良いなら、今の相場で出番が減っていないかを疑う
  • 直近だけ良いなら、たまたまの偏りやサンプル不足を疑う
  • 当てはまる回数が少ないなら、PFや勝率が良く見えても強く信じすぎない

今回の数字は、『長期で作った条件を直近へそのまま移植する読み方』に注意がいることを示しています。

たくや

たくや

長期で良くても、今の相場でほとんど出ないなら意味が薄くなるんですね。

みか

みか

直近だけ良く見えるときも、回数が少なかったらまだ判断保留ってことか。

るなまる

るなまる

その2つを分けて考えられると、数字に振り回されにくくなります。

バックテスト採用前に確認したいポイント

  • 長期データで悪い年や異常値を含めても崩れないか
  • 直近データで、今のレジームでも十分な回数が出るか
  • OOSや年別でも崩れていないか
  • 実運用コストを入れても成立しそうか
バックテスト期間の読み方チェックリスト
長期だけ・直近だけで判断しないためのチェックリスト。

この検証結果を見るときの注意点

  • 中心数値はPFや利益ではなく、イベント数不足の件数と割合です。
  • 変動スプレッド、滑り、手数料、約定拒否はこの公開結論に直接入っていません。
  • 将来の利益を保証する検証ではありません。
  • 『長期なら正しい』『直近なら実戦的』と断定しないための材料です。

FAQ

Q. 長期データで良ければ、それだけで十分ですか?

いいえ。長期は耐久テストに役立ちますが、今の相場で出番が残るかは別に確認が必要です。

Q. 直近だけ良ければ十分ですか?

それだけでは判断しにくいです。直近だけだと、たまたまやサンプル不足を見抜きにくくなります。

Q. 今回の66.7%は何を意味しますか?

長期固定基準を直近へ当てはめた1,728回のうち、1,152回がイベント数不足だった、という意味です。

Q. これは実運用の損益をそのまま示していますか?

いいえ。今回は損益ではなく、十分な判断材料が残るかを見ています。

まとめ|長期と直近を分けて確認する

今回の確定データでは、USDJPYの2010〜2019固定ATR基準を2022〜2024へ当てはめた1,728回のうち、1,152回(66.7%)がイベント数不足でした。

だからこそ、長期は耐久性、直近は現在の相場への当てはまりを確認する材料として、分けて評価する必要があります。どちらか片方だけで採用判断を急がないことが大切です。

この結果を長期と直近の役割分担に使う

今回の結果を見ると、長期だけ、直近だけで判断するより、それぞれを別の役割で見るほうが整理しやすくなります。長期では崩れ方の傾向を見て、直近ではいまも同じ傾向が残るかを確認する形に分けておくと、数字の見方がぶれにくくなります。

次に確認するなら、期間を分けたあとでも傾向が残るかを見るOOS検証が自然です。直近の数字をどこまで重く見るかを整理したい人は、OOS検証を続けて見るとつながりやすくなります。

OOS検証のOOS検証を見る

るなまるの検証メモ

検証では、USDJPYの2010〜2019固定ATR基準を2022〜2024の6通貨ペアM30へ当てはめ、イベント数不足の件数と割合を確認しました。長期側の参照期間と直近側の適用条件は、表の条件に合わせています。

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この記事を書いた人

るなまる

るなまる|データアナリスト

Python・統計を使ったFXの検証を2018年から継続。長期ヒストリカルデータをもとに、相場でよく聞く説やバックテスト結果を検証しています。 プロフィールはこちら

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